楽天市場の諸問題

公正取引委員会からの「通知」について [2007/11/02]

平成17年11月11日、独占禁止法45条1項に基づき、当社が行った楽天株式会社の同法違反被疑事実の申告について、公正取引委員会から、平成19年11月2日付けの「通知書」(公審通第347号)が届きましたので、お知らせします。 文面は以下の通りです。

公審通第 347 号
平成19年11月2日

 

株式会社生活と科学社
代表取締役 猪ノ口 幹雄 殿 公正取引委員会

 

 

通 知 書


 平成17年11月11日に書面で報告を受けた楽天株式会社に対する件について下記の通り処理したので、 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第45条第3項の規定に基づき通知します。

 

 

 審査の結果、これまでの情報では独占禁止法上の問題とすることは困難ですので、措置は採りませんでした。

 平成17年11月11日に弊社は、独占禁止法45条1項に基づいて、公正取引委員会事務総局 近畿中国四国事務所 第一審査課に、楽天株式会社の同法違反被疑事実の申告を致しましたが、同申告は平成18年4月に、公正取引委員会情報管理室での審査に移されました。

 平成18年12月27日に公正取引委員会の「電子商店街等の消費者向けeコマースにおける取引実態に関する調査報告書(概要)」(以下調査報告書)が発表されましたが、特に楽天市場に顕著に見られる出店規約の一方的な変更などによって出店者に対して極めて不当な負担を強いている問題点について、今回初めて国によるいわばイエローカードが投じられたといえます。

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.december/06122702.pdf

その主な内容は以下の通りです。

1.ダイレクトメール送付等の営業活動の制限について

【実態】
 楽天市場は、顧客情報について、出店事業者が退店後においてダイレクトメール送付等の営業活動に全く利用できないようにしている。

【独占禁止法上の評価】
 運営事業者が、退店後の出店事業者に対して顧客情報の利用を禁止することは、それが個人情報保護のために必要な制限とはいえないにもかかわらず、消費者向けeコマース市場における電子商店街間の競争に悪影響を与えるおそれがある場合には、独占禁止法上問題となる(拘束条件付取引)ものである。

個人情報保護法の解釈によれば、運営事業者から出店事業者に提供された顧客情報について、出店中に運営事業者が定めた利用目的の範囲内であれば、出店事業者は退店後においても出店中と同様に利用することができることとされている。

 また、「個人情報の通知に関する消費者の意識」について、消費者は電子商店街で商品を購入する際、個人情報を誰に教えていると認識しているかについて、アンケート調査を行った。その結果、「出店事業者」又は「出店事業者と運営事業者の両方」に決済情報を教えていると考えている消費者および「出店事業者」又は「出店事業者と運営事業者の両方」までならば決済情報を知られても差し支えないと考えている消費者がいずれも7割を超えていた。

2.手数料率の一方的な変更について

【実態】
 楽天市場は、電子商店街退店後の出店事業者の自由な営業活動を制限しており、そのため出店事業者は取引先の運営事業者を変更することが困難であることで、取引事業者に対して優位な立場にある。そのような中で、出店規約において、運営事業者が一方的に手数料率を変更できるとしている。
  出店事業者ヒアリングによると、手数料の変更については運営事業者の一方的な通告によって行われ、出店事業者との話し合いの余地は全くない状況だった。

【独占禁止法上の評価】
 出店事業者に対する取引上の立場が優越している運営事業者が、手数料率の引き上げに関して出店事業者にとって不当に不利益な手数料率の設定を行う場合には、独占禁止法上の問題(優越的地位の乱用)につながるおそれがある。

3.過大なポイント原資の賦課について

 【実態】
 楽天市場は、ポイント制度への参加を出店事業者に義務付け、ポイント制度の原資は基本的に出店事業者が負担するとしている。 ヒアリング調査の結果、消費者が実際にポイント制度を使用したか否かにかからず、一定割合の金額分をポイントの原資として出店事業者に負担させている。

【独占禁止法上の評価】
 出店事業者に対する取引上の立場が優越している運営事業者が、実際には利用されないポイント分の原資まで出店事業者に負担を課すようなポイント制度の運用により、出店事業者に不当に不利益を課す場合には、独占禁止法上の問題(優越的地位の乱用)につながるおそれがある。

4.運営事業者によるクレジットカード決済代行業務の利用義務付けについて

【実態】
 楽天市場は、出店事業者が直接クレジットカード会社との間で決済を行うことを原則的に禁止しているが、ヒアリング調査によると、出店事業者が直接クレジットカード会社との間で決済を行う場合の手数料より高率な手数料を出店事業者から徴収している。 競争政策上の観点からは、クレジットカード決済について、出店事業者が直接クレジットカード会社と決済を行うか、または手数料を支払った上で、運営事業者にクレジットカード会社との決済の代行してもらうかを自由に選択できることが望ましい。

【独占禁止法上の評価】
 出店事業者に対する取引上の立場が優越している運営事業者が、個人情報保護のために必要な制限とはいえないにもかかわらず、自らが行うカード決済代行業務の利用を出店事業者に義務付け、出店事業者が直接カード会社と加盟店契約を締結するときの手数料率よりも高率の手数料率を設定することにより、出店事業者に不当に不利益を課す場合には、独占禁止法上の問題(優越的地位の乱用)につながるおそれがある。

 

 上記のように、「調査報告書」には当社が提起した問題点がほぼ網羅されており、当社の公正取引委員会への申請が、現在電子商取引の抱えている問題点と今後解決すべき点を明らかにする上で、一定の役割を果たすことが出来たものと自負しています。

  また、電子商店街のサイトから外部のサイトへのハイパーリンクについて、運営事業者の大多数が全面的に認めているか、または一部制限(アダルトサイトなどへリンク禁止)を課した上でリンクを認めている中で、楽天は外部ウエブサイトへのリンクを禁止していますが、それは消費者が商品に関する詳細な情報を得る最も有効な手段を奪うものです。 一瞬にして世界で最も洗練された考え方を検索エンジンで呼び出せるということは、ビジネスや科学そして教育を一変させます。電子商取引の世界は、新しい市場形成に向けて大きく発展しており、出店事業者にとっては、良好なサービスを提供することでシェア拡大を図ることができ、将来的な利益に繋がります。楽天は、消費者や出店事業者の抱え込みを図る外部リンク禁止を直ちに改めるべきです。

  公正取引委員会の独占禁止法による「措置」とは、「調査報告書」の内容から鑑みて、規約の修正・排除の命令が考えられ、実施された場合は、楽天市場への契約企業がそれを根拠に個別に損害賠償請求をすることが可能になり、その影響は非常に大きなものになることが考えられます。したがって、当社一店舗だけの申告では、すなわち「これまでの情報」だけでは独占禁止法上の問題とすることは困難」との判断が下されたものと思われます。 しかしながら、「調査報告書」は「関係事業者においては、本件調査結果を踏まえ、取引慣行を点検し、競争制限的な慣行を見直すなど、消費者向けeコマース全般の適正化を図ることが必要である」とし、「公正取引委員会は消費者向けeコマースにおける取引慣行全般について、公正かつ自由な競争の促進の観点から、今後とも引き続きその動向を注視していくこととする」としています。また、出店事業者の多くが出店規約の一方的な改訂などに不満を持っていることが明示され、出店事業者に対する取引上の立場において優位に立つ事業者に対して厳しく監視を続けることが明記されていることを重視したいと思います。

  「楽天市場では、月に場所代を5万円払えば、あとは一切かかりません。」(1999年3月朝日新聞)「出店料は月5万円にしました。いくら売れようと出店者から口銭を取ることもしません。」(1999年7月日経PC21)との謳い文句で出店事業者を集め、出店事業者が多大な経費と労力を払ってショップを核店舗として作り上げ、最早楽天市場から簡単には撤退出来なくなってから、出店規約を自社に有利に一方的な改訂を行うという、極めて姑息な手法が現在の楽天市場の発展に大きく寄与したことは紛れもない事実です。
  そのような、出店事業者との共存共栄を謳いながら、実は「資本の論理」をかざし、自社の利益を最優先させる楽天の企業体質は、多くの人々の知ることとなりました。
  楽天市場の強引な手法は、TBSとの業務提携楽が暗礁に乗り上げているように、これまでの同社の拡大路線にほころびが見え始めています。

 商取引の基本は人間・組織の信頼関係がその根底にあります。楽天市場は、ITという最新の技術に依拠しながら、その企業体質は旧態依然たるものですが、このたびの公正取引委員会の「調査報告書」の指摘を真摯に受け止め、自ら掲げる「楽天憲章」および「法令および健全な商習慣」を遵守すべきです。

  最後に、「石けん百貨」は、楽天市場を退店後約2年半を経過しましたが、順調に発展していることをご報告いたします。
  11月は「石けん百科」「石けん百貨」の設立月にあたり、その記念事業への取り組みのため、このたびの「公正取引委員会からの通知」に関するお知らせが遅くなりました。当店は、インターネットの双方向性を生かして、ユーザーおよびメーカーのみなさまとともに、単なる営利追及だけでない新たなビジネスモデルを構築すべく日々業務に研鑽を重ねております。